排水配管内の固着物が大便器の汚物搬送に及ぼす影響について

一般社団法人日本レストルーム工業会では、衛生器具に関する様々な取り組みを行っています。
ここでは関東学院大学 建築・環境学部 大塚研究室(*1)で行われた2023〜2024年度空気調和・衛生工学会(*2)発表論文を参考に紹介します。

(*1) 関東学院大学 建築・環境学部 大塚研究室リンク

(*2) 空気調和・衛生工学会は、暖冷房・換気、給水・排水、衛生設備など生活と密着した設備やその仕組み・原理などを扱う学問領域で活動する学術団体です。

排水配管内の固着物が大便器の汚物搬送に及ぼす影響について

【共通の実験条件】

  • ■供試大便器:洗落とし方式密結タンク式大便器、大洗浄水量4.8L、
           器具平均排水流量qd値0.85L/s(*3)
  • ■配管径:75A(透明管)
  • ■配管勾配:1/100
  • ■代用汚物
代用汚物 概要 質量
[g]
分類 外観 仕様 長さ 負荷レベル
BLタイプ トイレットペーパー
シングル仕様
0.9m(八折り)×4枚 ベターリビング基準の
一般的な負荷条件
7.3
E'タイプ トイレットペーパー
厚手のダブル仕様
1.0m(八折り)×6枚 ベターリビング基準の
約3.7倍の負荷条件
26.8

※ベターリビング(*4) BLT WC:2020 基準

※お尻を拭くときに使用するトイレットペーパー1枚当たりの長さ:平均0.8m/枚(*5)

注)実験は限られた条件のため、設定の差異により結果は異なります。

(*3) 器具の排水において、排水量の20%が排出されてから80%が排出されるまでの間における平均流量をいう。排水管径の算出で、器具から出る排水量を計算する際に使う値です。

(*4) ベターリビングは、国民の住生活水準の向上を目的として設立され、優良住宅部品(BL部品)の評定機関として部品の認定・普及を行っている一般財団法人です。

(*5)「温水洗浄便座の使用とトイレットペーパーの使用に関する実態調査結果(2016年7月)」に記載しています。

■固着物

品名 写真 素材 一枚あたりの寸法
[mm]
一枚あたりの質量
[g]
ゴム板 ゴム板 ゴム 40×30×5 10

※固着物として、上記のゴム板を排水管内の所定の位置に貼付け、重ね枚数で高さを調整。

■連続排水条件

① 単独配管における搬送実験

配管内に固着物が堆積しないよう定期的な配管清掃をおすすめします。
⇒配管内に固着物があると、その高さが5mm程度でも汚物搬送に影響があります。
また、固着物が堆積して高くなると、より汚物が停滞しやすくなり、詰まり等の原因になります。

■エルボ種類

(1) 90°小曲りエルボ
(DL継手)

■配管条件

【実験結果】

■固着物の高さによる搬送機能への影響

a)代用汚物:BLタイプ及びE'タイプのトイレットペーパー

② 合流配管における合流継手種類による搬送実験

合流継手は90°大曲りY継手(LT)や45°Y継手の使用をおすすめします。
⇒90°Y継手(DT)では固着物があると、合流部に停滞してしまう場合があります。

配管内に固着物が堆積しないよう定期的な配管清掃をおすすめします。
⇒配管内の合流部下流に固着物があると、5mm程度の高さでも、LT継手や45°Y継手でも逆流の割合が増え、また、固着物の高さがより高くなると逆流する割合が更に高くなり、汚物搬送に大きな影響を及ぼして詰まり等の原因になります。

また、一度にたくさんのトイレットペーパーを流さないようご注意ください。
特に、ダブル等の厚手のトイレットペーパーをご使用の場合、長さは控えめにすることをおすすめします。
⇒一度に流すトイレットペーパーの量が多くなると、配管内の合流部下流に高さが5mm程度の固着物があると、90°大曲りY継手(LT)や45°Y継手でも配管内に停滞しやすくなり、詰まりが生じる場合があります。

■合流継手種類

(1) 90°Y継手
(DT)

(2) 90°大曲りY継手
(LT)

(3) 45°Y継手
 

■配管条件

【実験結果】

■各合流継手における固着物の有無による搬送機能への影響

90°Y継手(DT)では固着物があると、合流部に停滞してしまう場合があります。

a)代用汚物:BLタイプのトイレットペーパー

一度流すトイレットペーパーの量が多くなると、配管内の合流部下流に高さ5mm程度の固着物があると、90°大曲りY継手(LT)や45°Y継手でも配管内に停滞しやすくなり、詰まりが生じる場合があります。

b)代用汚物:E'タイプのトイレットペーパー

■各合流継手における固着物の高さ違いによる上流及び下流に流れる排水の分配比への影響

配管内の合流部下流に高さが5mm程度の固着物があると、LT継ぎ手や45°Y継ぎ手でも逆流の割合が増え、また固着物の高さがより高くなると逆流する割合が更に高くなります。

合流継手種類 流れの方向 なし 固着物高さ(3200m地点)
5mm 20mm
DT継手 DT継手 A方向:キャップ方向
(上流先端部向き)
41% 33% 70%
B方向:末端方向
(下流排水部向き)
59% 67% 30%
LT継手 LT継手 A方向:キャップ方向
(上流先端部向き)
14% 23% 55%
B方向:末端方向
(下流排水部向き)
86% 77% 45%
45°Y継手 45°Y継手 A方向:キャップ方向
(上流先端部向き)
12% 23% 41%
B方向:末端方向
(下流排水部向き)
88% 77% 59%

■ 90°Y継手(DT)における固着物による上流への汚物の逆流事象の事例

90°Y継手(DT)は逆流する割合が多く、また固着物の高さが高くなると逆流する割合がさらに増えて、固着物手前で停滞した代用汚物が次の排水で逆流する事象も確認できております。

事例)停滞していた代用汚物が上流に逆流した排水で押し流された様子
TOPへ戻る TOP