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衛生器具

一般社団法人日本レストルーム工業会では、衛生器具に関する様々な取り組みを行っています。
ここでは関東学院大学 建築・環境学部 大塚研究室(*1)で行われた2020年度及び2021年度空気調和・衛生工学会(*2)発表論文を参考に紹介します。


    (*1) 関東学院大学 建築・環境学部 大塚研究室リンク

(*2) 空気調和・衛生工学会は、暖冷房・換気、給水・排水、衛生設備など生活と密着した設備やその仕組み・原理などを扱う学問領域で活動する学術団体です。

【共通の実験条件】

■供試大便器:洗落とし方式密結タンク式大便器、大洗浄水量4.8L、
       器具平均排水流量qd値0.85L/s(*3)
■配管径:75A(透明管)
■代用汚物
分類 概要 定義 坪量
[g/m2]
質量
[g]
含水質量
[g]
BL 平置き型トイレットペーパー
0.9m×4枚
(シングル仕様)
べターリビング基準の
一般的負荷条件。
17.8 7.3 167.5
D 平置き型トイレットペーパー
1.0m×6枚
(シングル仕様)
ベターリビング基準(BL)の
約1.7倍の負荷条件。
17.8 12.2 168.9
※ベターリビング(*4) BLT WC:2020 基準

注)実験は限られた条件のため、設定の差異により結果は異なります。

(*3) 器具の排水において、排水量の20%が排出されてから80%が排出されるまでの間における平均流量をいう。排水管径の算出で、器具から出る排水量を計算する際に使う値です。
(*4) ベターリビングは、国民の住生活水準の向上を目的として設立され、優良住宅部品(BL部品)の評定機関として部品の認定・普及を行っている一般財団法人です。

① 配管勾配による搬送実験

配管勾配は1/100よりも1/50をおすすめします。
⇒ 汚物は勾配によって搬送されていきます。以下の実験結果を参照下さい。


■エルボ種類

(1) 90°小曲りエルボ
(DL継手)


■モデル配管(配管長16m)

【実験結果】

1回の洗浄の繰り返し5回の平均搬送距離
※停滞後は次の洗浄で詰まることなく押し流されていきます。

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② エルボ有無による搬送実験

エルボの数はできるだけ少なくなることをおすすめします。
⇒ エルボにおける抵抗で搬送の勢いは低下します。以下の実験結果を参照下さい。


■エルボ種類

(1) 90° 小曲りエルボ
(DL継手)

(2) 90° 大曲りエルボ
(LL継手)

注)図表中では、それぞれDL, LLと記載します。


■配管勾配:1/100
■配管形状:ストレートおよび等間隔曲り配管(配管長6m)

【実験結果】

1回の洗浄の繰り返し5回の実験結果

配管
形態
エルボ
種類
代用
汚物
平均搬送距離
[m]
ストレート ── BL 6.00
D 5.50
等間隔曲り DL BL 5.47
D 4.00
LL BL 6.00
D 5.17
※停滞後は次の洗浄で詰まることなく押し流されていきます。

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③ エルボの大小による搬送実験

エルボは小曲りではなく大曲りをおすすめします。
⇒ 小曲りは大曲りより搬送抵抗が大きいためです。以下の実験結果を参照下さい。


■エルボ種類

(1) 90° 小曲りエルボ
(DL継手)

(2) 90° 大曲りエルボ
(LL継手)

注)図表中では、それぞれDL, LLと記載します。

■配管勾配:1/100

【実験結果】

■モデル配管①(配管長6m、エルボ5個)

1回の洗浄の繰り返し5回の実験結果

エルボ
種類
代用
汚物
平均搬送距離
[m]
DL BL 3.72
D 2.97
LL BL 6.00
D 4.14
※停滞後は次の洗浄で詰まることなく押し流されていきます。

■モデル配管②(配管長8m、エルボ4個)

1回の洗浄の繰り返し5回の実験結果

エルボ
種類
代用
汚物
平均搬送距離
[m]
DL BL 7.18
D 3.17
LL BL 7.59
D 6.96
※停滞後は次の洗浄で詰まることなく押し流されていきます。

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④ エルボ大小による流れ方の違い

90°小曲りエルボ(DL)の場合、勢いよく水と汚物が継手に衝突するため、一時的に排水がせき止められ逆流(バックフロー)が発生し易くなります。一方90°大曲りエルボ(LL)は、流れがなめらかで抵抗が小さいため、90°小曲りエルボ(DL)より搬送性能は高いです。
 ⇒ 動画によりトイレットペーパーを流した時の小曲りエルボと大曲りエルボの流れをご確認ください。

■下記の動画はモデル配管にトイレットペーパーを洗浄した時の一つ目のエルボにおけるハイスピードカメラで
 撮影した映像です。

90°小曲りエルボ(DL)

90°大曲りエルボ(LL)

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⑤ 第一曲りの位置による流れ方の違い

便器直下の曲りから次の曲りまでの距離は1ⅿ以上確保することをおすすめします。
⇒ 次の曲りまでの距離が短いと、排出された洗浄水の勢いが強く、曲りの壁面を駆け上がりスムーズに流れていかなくなります。便器直下の曲りから次の曲りまでの距離の影響を動画でご確認下さい。

■下記の動画は、曲りの位置の違いによる洗浄水のみを流した時の状態をハイスピードカメラで撮影し、
 比較した動画になります。

【曲り位置0.5mの写真】

【曲り位置1.5mの写真】

【曲り位置0.5mの動画】

【曲り位置1.5mの動画】

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